今回は、一風変わったアイデアとデザインで観客を沸かした明石Bチーム「ɒzz!d」を徹底解説!
引用元:明石高専HPより
このロボットはピザ職人がモチーフです。ピザに模したTシャツを回して干すという他にないアイデアがあります。また、チーム名の「ɒzz!d」も「pizza」の文字を180°回したものとなっています。
勝負だけではないロボコンの面白さがとても詰まっています!
1.近畿大会
明石高専Bは予選Aリーグに配置され、舞鶴高専Bと神戸高専Bと対戦することとなりました。
予選1回戦、手動機のTシャツ回収が失敗したこで洗濯物を干せず、得点は0点。対戦相手の舞鶴高専Bも無得点だったことから、審査員判定。ロボットの面白さが評価され、2-1で勝利となりました。
続く2回戦、神戸Bとの対戦でも互いに得点は0点。再び審査員判定となるも、1-2で敗れ、決勝トーナメントに進出することが出来ませんでした。
明石Bのアイデア性が披露されたのはエキシビジョンマッチ。人の手によるサポートもありながら、見事ピザ回しを成功させ、会場を沸かせました。
(表1)近畿大会結果
引用元:http://robo-ken.soc.or.jp/library/lib2019.html
優勝: 奈良高専Aチーム「飛鳥」(全国ベスト8)
準優勝: 大阪府大高専Aチーム「OSAKA OBASAN」
アイデア賞: 明石高専Aチーム「明石『超』乾燥」
大会映像はこちらから↓
予選リーグ第2回戦: 2:46:44~(vs 神戸B)
エキシビジョン: 3:27:54~
2.ロボットについて
2.1 自動機
- ピザの皿を模したハンガーを扱う機構や、洗濯ばさみを取り付ける機構、バスタオルをかける機構がついています。
- ピザの皿は、ポールの下を通った際に取り付く仕組みになっています。
(画像1)ピザの皿
- 洗濯ばさみは、ポールに押しつけることによって取り付けます。
(画像2)洗濯バサミ
- バスタオルを干す機構は、モーターの回転によりツメのロックを着脱することによってバスタオルをかけます。
(画像3)バスタオルを干す機構
- 自動機の昇降機構には、ロジャーアーム機構が使われています。
2.2 手動機
- ピザ職人の姿に模した人型のロボットとなっており、洗濯物を回収や排出する機構、Tシャツをピザを回すようにして皿型のハンガーに乗せる機構がついています。
- 足回りは上下に伸縮できるようになっており、オムニホイールは伸縮可能な3脚の先端に取り付けられています。
(画像4)足回りの伸縮機構
- 3本脚の足回りは、遊星歯車を使うことによりモーター1つで伸縮できるようになっています。また、4条送りねじを使っているため、素早く伸縮できます。
(画像6)伸縮機構
- 洗濯物を回収する機構は、ラックピニオン機構によってシートを伸縮させることで、洗濯物を下からすくい上げて回収します。
- ピザ回しの機構は、右腕の機構に取り付けられた円形の発射部分に左腕の機構でTシャツを装填し、右腕の機構でピザに見立てられたTシャツを回しながら飛ばします。
- 右腕の機構は定荷重ばねを用いて発射する仕組みで、再装填はラックピニオン機構で行います。ばねの開放はピニオンをスライドさせ、一時的にラックから外すことで行われています。
- 左腕の機構を使い、右腕の発射機構にTシャツを装填することができます。
- 左腕の回転部分にはウォームギアが用いられています。
(画像7)ロボットのデザイン
4.考察
- デザインを先に決め、それを追求していくスタイルは、斬新且つ一貫性のあるロボットを作れる方法となっている。
- 他高専でよくみられる設計班や制御班の他に、外装班という班を設けているため装飾のレベルが高くデザイン性に富んだロボットを作ることができる。
- ハンガーの仕組みなど、よく見ないと理解できないぐらい機構1つに対する仕事の質が高い。
5.明石高専さんから
5.1 反省
・制御システムに汎用性を求めすぎて構築に時間がかかり、調整する時間が足りなかった。その結果、大会で思うように動かすことができなかった。
・ロリコンとNucleoの調子が悪く、自動ロボットが9月になっても中々安定せずNucleoの方ばかり調整していたが、原因がロリコン(の配線)にもあったので早く気づけばよかった。前年はロリコンの配線をモーターと一緒に束ねても問題なかったが、今回はモーターの動作周波数が1 kHz→15 kHzと上がっていてその影響でロリコンの配線にノイズが乗ってしまっていた。
5.2 良かったこと
制御に関して
- CSに取り付けたLRFでロボットに取り付けた白い板を検出をしている(2018広島商船参考)
- CSのPCと自動ロボットのRasPiは2.4 GHzと5 GHzの両方で通信しているので強固となっている
- RasPiのピンの状態などはWi-Fi経由でPC側から確認可能になっている
- 360度カメラと同期して練習中に動画撮影をできるようにした
- 手動ロボットの腕は可変抵抗で角度を読んでいる
- (地区大会後に)手動ロボットのピザ投げの動作を自動化することができた
- 結束バンドやプラレールチェーンを用いて、配線をきれいにまとめた
- 制御ダイアグラムを書いた
(画像8)制御ダイアグラム
外装に関して
- 洗濯かごはピザ窯、CSの外装はピザ箱をモチーフとし、ロボット本体以外も外装にこだわった
- 手動ロボットと自動ロボットの名前もピザに関連している。手動ロボットは「いざ八投」(ピザハット)、自動ロボットは「ピ皿」(ピザーラ)。
- チームのロゴを作成した
(画像9)チームロゴ
チーム運営に関して
- 「今日のロボット」と題して毎日ロボットと人の写真を撮って記録した
- シーズン中に会議を20回近く行い、こまめに進捗確認と情報共有をすることができた。
6.まとめ
- 手動機は、ピザ職人をモチーフにしたロボットで、洗濯物の回収、ピザ投げによるTシャツをかけることをするロボットでした。
- 自動機は、ピザの皿のハンガーを竿につけたり、バスタオルを干すことのできる機構のついたロボットでした。
- アイデアを最後まで貫き通して、完成させたというのは、とてもすごいと感じました。
7.謝辞
前回に引き続き、本ブログを執筆するにあたり、明石高専ロボット工学研究会の方々に力添えを頂きました。
CADデータや画像等を提供していただいたことで、ブログの質が非常に高まり、感謝しております。
今後とも、良好な関係を保つとともに、私たちに協力できることがあれば、微力ながらお役に立てればと思います。
ご多忙の中、本当にありがとうございました。
明石高専ロボット工学研究部さんのHPはコチラ‼(http://akashiroboken.main.jp/)
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